長年住まわれた住まいには、丁寧に暮らしてきた痕跡と、時を重ねたからこその味わいが宿っていました。
美しい木の建具や、光を受ける障子のやわらかさ。
そこには、昔ながらの工夫と人の手による繊細な意匠がありました。私たちは、そうした“すでにある魅力”を大切にしながら、現代の暮らしに自然と馴染むよう、
そっと手を加えることを意識しました。
家族が集うLDKは、間仕切りを取り払い、光と風が通る伸びやかな空間へ。
時を超えて残した建具や欄間は、かたちを変えながらもこの家の個性として息づいています。
“壊してつくる”ではなく、“引き継ぎながら、育てていく”
そんな想いが、この住まいをカタチづくりました。
暮らしが変わっても、心地よさの本質は変わらない。
この家が、そんな普遍的な豊かさを伝えてくれる存在になればと思います。